設置テクニック

ベランダソーラーの置き方。向き・角度・影で発電量は大きく変わります

この記事の要点: 南向きが基本で東西向きは3割減。南向きなら架台で約60度に起こすと年間日射約1.3倍。固定と避難経路の確保が先です。

ベランダソーラーは、同じパネルを買っても、置き方で発電量が大きく変わります。効いてくるのは、方角、角度、影の3つです。この記事では、この3つの考え方と、安全のための固定方法、そして私自身の設置例を順に説明します。私は太陽光発電業界で15年以上働くパワーエレクトロニクスのエンジニアで、自宅の賃貸住宅のベランダに太陽光発電パネルとポータブル電源(持ち運びできる蓄電池)を設置して、2025年1月から運用しています。

方角。南向きが基本で、東西向きは3割前後の目減りを見込みます

太陽光発電パネルは、太陽の方を向いているほど多く発電します。日本では太陽が南の空を通るため、南向きのベランダが基本になります。

ベランダの方角は選べないことが多いので、東向き・西向きの場合の考え方を書いておきます。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公開している日射量データベースの値で比べると、東向きの垂直面の年間日射量は、南向きの垂直面のおよそ4分の3です。目安としては、南向きに比べて3割前後の目減りを見込んでおくとよいと考えています。東向きなら午前、西向きなら午後に発電が寄る、という時間帯の偏りも出ます。

北向きは、直射日光がほとんど当たらないため、費用に対して得られるものが少なすぎます。私は設置をおすすめしません。

角度。手すりへの垂直吊り下げより、架台で角度をつけるほうが有利です

ベランダでのパネルの置き方は、大きく2つあります。手すりに沿ってほぼ垂直(90度)に掛ける方法と、架台(パネルを斜めに支える台)に載せて角度をつける方法です。

この差は感覚論ではなく、公的なデータで確認できます。NEDOの日射量データベース(MONSOLA-20、東京都千代田区の値)では、南向き垂直面の年平均日射量が3.11kWh/m²/日であるのに対し、南向きの傾斜60度では4.15kWh/m²/日です。同じ南向きでも、垂直掛けに対して約60度に起こすだけで、年間の日射量は約1.3倍になります。

理由は太陽の高さです。夏は太陽が高いところを通るため、垂直に立てたパネルには日射が浅い角度でしか当たりません。パネルを少し寝かせて空に向けると、この取りこぼしが減ります。逆に冬は太陽が低く、垂直面のほぼ正面から当たるため、垂直掛けは「冬に強く、夏に弱い」設置になります。

したがって、ベランダの床に架台を置く奥行きが取れるなら、角度調整のできる架台は検討する価値があります。ただし、パネルを立てて角度をつけるほど風を受けやすくなります。角度の最適化より先に、後述する固定を確保してください。

影。晴れた日に朝・正午・夕方の3回、目で確かめてください

ベランダは影の要因が多い場所です。自分のベランダの手すり、隣戸との隔て板、上階のバルコニーの床、向かいの建物、そして洗濯物。どれも時間帯によって影のかかり方が変わります。冬は太陽が低いぶん影が長く伸びるので、季節によっても変わります。

確かめ方は難しくありません。晴れた日に、朝・正午・夕方の3回、パネルを置く予定の場所に立って、そこに影がかかっているかを見てください。3回のうち1回だけ日が当たるなら、直射の当たる時間はおよそ3分の1と見積もれます。私も自宅の設置場所を決めるとき、この手順で確認しました。

もう1点、部分影について書いておきます。一般的なパネルは内部のセル(発電素子)が直列につながっているため、パネルの一部に影がかかると、影の面積以上に出力が落ちることがあるとされています。手すりの影が横一線にかかるような置き方は、避けられるなら避けたほうがよい、というのが現時点の私の理解です。ただし、自分のベランダでどの程度落ちるかを条件付きで測った実測データはまだ持っていません。この点は実測レポートの記事で検証する予定です。

固定。発電量の最適化より先に、落下防止を確保してください

集合住宅の高い階からパネルが落ちれば、重大な事故になります。置き方の工夫の中で、優先順位が最も高いのはここです。

  • 架台ごとストラップで固定し、風で動かないことを確認する
  • 台風など強風が予想される日は、あらかじめ取り外して室内に入れる
  • 賃貸住宅なら、床や壁に穴を開けない(原状回復できない加工をしない)
  • 賃貸住宅のベランダは火災等の非常時の避難経路です。避難ハッチと隣戸との隔て板を塞がない配置にする
  • バルコニーは賃貸でも区分所有でも専有部分ではないため、管理規約を読み、賃貸なら貸主に確認する

発電量が1.3倍になる置き方より、落ちない置き方が先です。迷ったら保守的な側に倒してください。

私の設置例。架台約60度で、ケーブルはエアコンの配管口から室内へ

参考までに、私の自宅(静岡・南向きのベランダ)の設置を書きます。

  • パネルは手すりに掛けず、エアコン室外機カバーラックの上に0〜60度の角度調整ができるアルミ架台を載せ、約60度に立てて運用しています
  • 架台ごとストラップで固定しています。床にも壁にも穴は開けていません
  • パネルからのケーブルは、エアコンの配管口から室内へ通しています。付属ケーブルでは届かなかったため、延長ケーブルを追加しました
  • ポータブル電源の本体は室内の窓際に置いています。リチウムイオン電池は高温で劣化が進むため、真夏のベランダに本体を置きっぱなしにする運用は避けています

パネルは屋外、本体は室内、通すのはケーブルだけ。これが基本形だと考えています。

まとめ

  • 方角は南向きが基本です。東西向きは3割前後の目減りを見込み、北向きはおすすめしません
  • 南向きなら、垂直掛けより架台で約60度に起こすほうが、年間の日射量は約1.3倍になります(NEDOの日射量データベースの値)
  • 影は晴れた日に朝・正午・夕方の3回、置く場所に立って目で確かめてください
  • 発電量の最適化より先に、ストラップ固定・強風時の取り外し・避難経路の確保を済ませてください

発電量の計算方法(置き方の違いが電気代にどう効くか)は note
でも公開しています。

ベランダソーラーエンジニアの
note を見る

よくある質問

Q. 東向き・西向きのベランダでも発電できますか?

A.
できますが、南向きに比べて年間3割前後の目減りを見込んでください。東向きは午前、西向きは午後に発電が寄ります。北向きは費用に対して得られるものが少なく、おすすめしません。

Q.
パネルは垂直に掛けるのと角度をつけるのと、どちらがよいですか?

A.
NEDOの日射量データベースの値では、東京の南向き垂直面に対して約60度に起こすと年間日射量は約1.3倍になります。ただし角度をつけるほど風を受けるため、固定の確保が先です。

Q. 影の影響はどう確認しますか?

A.
晴れた日に朝・正午・夕方の3回、設置予定の場所に立って影がかかっているかを目視します。部分影は影の面積以上に出力を落とすことがあるとされています。

Q. 賃貸で置き方に気を付けることは何ですか?

A.
床や壁に穴を開けない、避難ハッチと隣戸との隔て板を塞がない、管理規約を読み貸主に確認する、の3点です。


※本記事の日射量はNEDO日射量データベース閲覧システム
MONSOLA-20(東京都千代田区の値)に基づく目安です。実際の発電量は地点・設置条件・天候により変わります。設置と固定は自己責任となるため、管理規約・貸主への確認と落下防止対策を必ず行ってください。

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