防災

ポータブル電源はベランダ専用にしない。キャンプ・防災と兼用する考え方

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この記事の要点: ポータブル電源はベランダ専用にせず、キャンプ・防災と兼用すれば1台で3役。電気代だけの回収計算では約48年かかります。

筆者は太陽光発電業界で15年以上働くエンジニアで、賃貸住宅のベランダに太陽光発電パネルとポータブル電源を設置して2025年1月から使い続けています。普段は子どものテレビや携帯ゲーム機の充電に使っている機材ですが、この機材をキャンプに持ち出して、電源のない夜を過ごしたことがあります。照明とスマートフォンの充電、パソコンの充電を一晩ポータブル電源でまかない、日中は持ち運び用の折りたたみ式太陽光発電パネルで充電しました。特別な準備はしていません。ベランダで毎日使っているものを、そのまま車に積んだだけです。

この経験から書きたいのは、ポータブル電源をベランダ専用の機器と考えない方がよい、ということです。

ベランダソーラーの機材は、発電専用機ではありません

ベランダソーラーの構成は、太陽光発電パネルとポータブル電源の2点が基本です。このうちポータブル電源は、もともとアウトドアや防災のために作られた製品で、ベランダ発電はその使い方の一つにすぎません。持ち手が付いていて、768Whクラスで10kg前後という重さも、持ち出して使うことを前提にした設計です。

パネル側も同様です。筆者は折りたたみ式と硬質(アルミフレーム入り)の2種類のパネルを持っていて、硬質パネルは架台に載せてベランダに常設し、折りたたみ式はキャンプに持ち出して使っています。実をいうと、この折りたたみ式パネルは当初ベランダ用に買ったもので、風の吹くベランダに安全に固定する方法がなく、常設をあきらめた経緯があります。持ち運ぶ用途では設計どおりに働いてくれますので、結果として、それぞれのパネルが合う場所に収まった形です。

参考機材(筆者が今から揃えるなら)

筆者が使っているのは一世代前の768Whクラスですが、今から兼用前提で揃えるなら次を選びます。

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つまり、ベランダソーラーとして揃えた機材は、家に据え付ける設備ではなく、持ち出せる汎用の機材です。この性質を活かさない手はないと考えています。

電気代の節約だけで回収を考えると、約48年かかります

費用の話をします。筆者のベランダの構成は、パネル・架台・ケーブル・ポータブル電源を含めて実費96,815円でした。100Wの太陽光発電パネル1枚がベランダで生む電気を電気代に換算すると年間で約2,000円ですので、電気代の節約だけで回収を考えると、96,815円
÷ 2,000円
で約48年という計算になります。パネルの製品寿命より長い年数です。

したがって、電気代の節約を目的にこの買い物をすることは、筆者は勧めていません。

一方で、この計算には前提の問題があります。購入費用の全額をベランダ発電の節約額だけで割っていますが、ポータブル電源はベランダ発電のためだけに使う機器ではありません。キャンプに持ち出せば屋外の電源になり、停電すれば非常用の電源になります。1台の機材が3つの役割を持つのに、費用の全額を1つの役割だけに負わせて回収年数を出すのは、評価の仕方として合っていないという理解です。

念のため書いておきますが、これは「だから実質的には元が取れる」という話ではありません。何年で元が取れるかを知りたい方には、この買い物は向いていません。そうではなく、日常の発電、屋外での実用、停電への備えという複数の用途に価値を感じられるなら、1台でその全部をまかなえる機材だ、という整理です。

兼用するときの注意点が3つあります

兼用には気を付けたい点もあります。筆者が実際に運用していて意識しているのは次の3つです。

持ち出している間、ベランダの発電は止まります

ポータブル電源を持ち出せば、その間ベランダのパネルは発電した電気の行き先を失います。数日のキャンプであれば失う発電量はわずかですので、割り切ってよい範囲と考えていますが、兼用とはそういうものだという前提は持っておく必要があります。

帰宅後の充電残量を確認してから、日常運用に戻します

キャンプで使い切った状態のまま置いておくと、次の停電への備えとしては空の電池になってしまいます。帰宅したら充電して、日常の運用に戻すところまでが持ち出しの一部です。

真夏の車内に置いたままにしないでください

ポータブル電源はリチウムイオン電池の塊で、高温で劣化が加速します。筆者が室内で充電しながら110Wを出力していたときでも、バッテリー温度は39℃ありました。真夏の車内はこれよりはるかに高温になりますので、車で運ぶ場合も、現地に着いたら車内に放置せず、日陰に移してください。劣化だけでなく安全の面でも、高温の環境に置いたままにする運用は避けるべきと考えています。

寝る前に満充電にする日常運用が、そのまま防災につながります

筆者の日常運用は、夜寝る前にコンセントから満充電にして、日中は太陽光で充電しながら使う、というものです。毎晩満充電で夜を迎えますので、照明が必要になる夜間や早朝に停電が起きても、残量はおおむね厚い状態です。

毎日使うこと自体にも意味があります。押し入れに保管したままの防災用品は、いざというとき動かない、リコール情報に気づかない、といったことが起こりえます。ベランダ発電で毎日充放電していれば、動作確認と劣化管理が自然に済みます。キャンプへの持ち出しも同じで、屋外で一晩使った経験があれば、停電時に何がどのくらい動くのかを、数字ではなく体感で知っている状態になります。

まとめ

  • ポータブル電源はもともと持ち出して使う設計の製品で、ベランダ発電はその用途の一つにすぎません
  • 電気代の節約だけで回収を考えると筆者の構成で約48年かかりますが、キャンプ・防災と兼用すれば1台の機材に複数の役割を持たせられます
  • 持ち出し中はベランダ発電が止まること、帰宅後に充電を戻すこと、真夏の車内に放置しないことに注意が必要です
  • 寝る前に満充電にする日常運用は、そのまま停電への備えになります

機材選びの詳しい手順は note 記事(有料)で公開しています: ベランダソーラーの選び方:
使いたい家電から逆算する構成の決め方

よくある質問

Q.
ベランダ用のポータブル電源をキャンプに持ち出せますか?

A.
持ち出せます。ポータブル電源はもともとアウトドアや防災のために作られた製品で、ベランダ発電はその使い方の一つにすぎません。

Q.
持ち出している間、ベランダの発電はどうなりますか?

A.
その間は止まります。数日のキャンプであれば失う発電量はわずかなので、割り切ってよい範囲と考えています。

Q. 持ち出すときの注意点は何ですか?

A.
帰宅後に充電して日常運用に戻すこと、真夏の車内に置いたままにしないことです。高温はリチウムイオン電池の劣化を早め、安全面でも避けるべき環境です。

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